高齢者などの抵抗力の低下した人が特にかかりやすい感染症
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA)
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA)特徴
黄色ブドウ球菌はヒトの体内にも存在しているグラム陽性球菌ですが、抵抗力の落ちている高齢者などは、皮膚にできる傷から化膿症や蜂窩織炎(蜂巣炎)などの皮膚に起こる感染症や、肺炎、腹膜炎、敗血症※3、髄膜炎、MRSA腸炎などの重症感染症を起こします。
ペニシリン剤やマクロライド剤など、多くの種類の抗菌剤が効かない黄色ブドウ球菌によって起こります。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA)症状
急な高熱、血圧低下、咳、下痢、お腹の張り、食欲不振、意識障害、白血球減少、血小板減少、腎機能障害、肝機能障害などがみられます。蜂窩織炎(ほうかしきえん)(蜂巣炎(ほうそうえん)):皮膚の奥にある組織の間に細菌が侵入し、炎症を起こして赤く腫れる。
リンパ浮腫や膿を持つこと、発熱、悪寒などもみられ、菌血症などを起こして重症化することもある
※3 敗血症:感染を起こして発熱や体温低下、血圧低下、頻脈、意識障害などがみられる
緑膿菌感染症
緑膿菌感染症の特徴
緑膿菌は水回りなどに多く存在している菌で、健康な人には害がありませんが、抵抗力の低下している高齢者などや、抗菌剤を長期服用している人が感染すると、日和見感染症の原因となります。
高齢者では口の中や気管の分泌液の中に緑膿菌が存在している場合もあります。
セフェム剤やテトラサイクリン系、マクロライド系の抗菌剤に耐性がみられるものを「薬剤耐性緑膿菌感染症」と言い、さらにβ-ラクタム剤、アミノ配糖体、フルオロキノロンなどの抗菌剤にも耐性を示す緑膿菌を「多剤耐性緑膿菌」と呼びます。
緑膿菌感染症の症状
皮膚の傷や褥瘡などが治りにくく、周囲の組織が壊死して骨まで見えるような傷にまで悪化することや、菌血症や敗血症を引き起こして多臓器不全を起こすことがみられます。
血液や体液を介して感染する感染症
肝炎(B型、C型)
肝炎(B型、C型)の特徴
血液や体液を介してB型・C型肝炎ウイルスが傷や粘膜から侵入して感染が起こります。
B型肝炎では母親からお腹の中の胎児に感染する母子感染もみられます。
肝炎(B型、C型)の症状
B型肝炎で急性肝炎を起こすと全身倦怠感、食欲不振、嘔吐、褐色尿、黄疸などがみられます。多くの場合、症状は一過性で回復しますが、急激に症状が悪化する劇症肝炎で死に至ることや慢性肝炎に移行することもあります。自覚症状がないまま慢性肝炎となり、肝硬変や肝がんを発症することもあります。
C型肝炎では全身倦怠感や食欲不振などの症状がみられますが、気づかないまま慢性肝炎となっていることが多く、肝硬変や肝がんを発症します。肝がんが進行すると腹痛、発熱がみられることや、肝硬変や肝がんが末期まで進行すると黄疸、腹水貯留、意識障害がみられます。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症の特徴
HIVに感染すると徐々に抵抗力が低下していき、日和見感染症や悪性腫瘍などを発症します。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症の症状
感染してから初期の頃に発熱、咽頭痛、筋肉痛、発疹、リンパ節腫脹、頭痛などの症状が数日から10週間程度みられます。多くは自然に軽快した後、無症状のまま数年から10年間経過します。その後は徐々に抵抗力が低下して日和見感染症や悪性腫瘍を発症し、食欲不振、下痢、低栄養、衰弱が著明となります。
フットケアの菊地さんより
高齢者の感染症は大変ですので、しっかり免疫をつけるために元気な身体づくりをしていきましょう。